2006年11月05日

グラミン銀行参考資料

20
〔研究ノート〕国際協力研究 Vol..18 No.2 (通巻36 号)2003.2 21
Note
坪井 ひろみ*
*山口大学大学院東アジア研究科博士課程
Hiromi TSUBOI
要 約
バングラデシュにあるグラミン銀行は、従来銀行融資の対象とならないとされてきた農村女性を対象に少額の無担保融資を行っていることで知られているが、1984 年に、雨漏りがする、水に浸かるといった劣悪な住環境を改善する目的で、住宅ローンを開始した。今日では、グラミン銀行から融資を受けている人のうち4 人に1 人がその住宅ローンで建てた住宅に住んでいる。その借り手の大半は女性である。
 本稿では、まず、貧困女性の現状、住宅ローン概要、女性の財産についての通念を述べたうえで、筆者の調査に基づき、家庭内において不安定な立場に立たされる場合が多い女性について、住宅ローンを利用して自己名義の住宅を所有するに至った女性と、住宅ローンを借りていない女性との比較を試みながら、特に財産面からとらえてみた。
 その結果、以下のことが明らかとなった。@住宅を建築するために、宅地委譲という形で男性(主に夫)からの協力を得ている、A住宅ローンの仕組みは宅地・住宅の所有者として女性を保護している、B住宅そのものが女性の大きな財産となっている、C女性にとって住宅は、老後の住み家となり得る永続的な居場所となっている、D貸家・貸間というビジネスが経済的な安定に寄与している。これらのことから、住宅ローンは、女性の生活に法的・経済的・社会的な安定をもたらしていることがわかった。

I はじめに―バングラデシュの女生と住宅ローン

 バングラデシュの貧困層注1 ) の女性は、家庭内において不安定な立場に立たされる場合が多い注2 ) 。家庭内における権威者は男性であり、この権威は離婚に際し端的に発揮される。たとえば、talaq(離婚するぞ)という言葉を夫が3 回唱えるだけで、離婚は比較的簡単に成立するといわれている。また、離婚という形でなくても妻が夫から遺棄されることもある(マローニー[1994 ]pp.28-29 )。さらに、バングラデシュでは年老いた親の扶養に関する責任の所在が曖昧なことから、夫に先立たれた老齢の妻は極めて不安定な立場に置かれる(外川[1993 ]pp.45-46 )注3 ) 。このような不安定な立場にある女性たちにとって、彼女らが身を置く場所、つまり住居の問題は深刻である。特に、貧困層の女性のうち、経済活動に従事している者は、大半がインフォーマルセクターの職業に就き、十分な収入を得ることができない状況にある。したがって、何らかの理由で女性が夫を失った場合、女性が住む場所は、@自己所有の住宅、A実家、B借家・間借り、C小屋のような家、D子どもの家(同居)、E今までどおりの住宅、F路上、であると考えられる。
 こうした状況の中で、グラミン銀行の住宅ローンが貧困層の女性にもたらす影響は大きい。本稿では、特に経済面の影響に焦点を当て、その意義を考えてみたい。

1.住宅ローン概要
 1984 年、グラミン銀行は、雨漏りがする、水に浸かるといった劣悪な住環境を改善する目的で、住宅ローンを開始した。これは、バングラデシュ政府が1993 年に明言した国家住宅政策(NationalHousing Policy )注4 ) に先駆けること9 年前のことである。グラミン銀行が提唱する理想的な住宅とは、その土地で調達可能な資材や技術を用いて安価に建築された、丈夫で、かつ安全で快適な、仕事場を兼ねた生活の場である(Nazrul,Amirul,Khadem[1989 ]p.24 )。また、グラミン銀行が提案する標準デザインは、床面積20m 2 (6 坪余り)、長方形の1部屋に切妻の屋根がある家である(Nazrul,Amirul,Khadem [1989 ]pp.24-25 )。借り手は、グラミン銀行から実費で標準タイプの家屋に必要なコンクリートの柱(市場から調達可能な場合はこの限りではない)と簡易トイレの提供を受けるが、それ以外は、設計から建築にかかわるすべてのことを主体的に行っている。実際に住宅建築では、家族の協力の下、住宅のデザイン、建築資材の購入と運搬、土壁や土床づくりが行われ、そして必要があれば大工やレンガ壁職人の、時には親戚の手を借りて家を建築している。こうして完成した住宅の多くは、トタン葺きの屋根に8 本の鉄筋コンクリートの柱があり、竹編またはトタンの壁で囲われた、工場や納屋を兼ねたものである注5 ) 。
 グラミン銀行年次報告書2000 年度版(GrameenBank [2001 ]pp.41-43 )によると、初年度(1984 年)、わずか317 軒だった住宅ローン融資の対象家屋は、16 年後の2000 年末現在には53 万3000 軒までに達し、累積貸付総額は75 億タカとなっている。住宅ローンの借り手は、男性が7.6%、女性が92.4%(Grameen Bank [2001 ]p.41 )であり、グラミン銀行から融資を受けている人たちのうち4 人に1 人が住宅ローンで建てた住宅に住んでいる。また、グラミン銀行は、バングラデシュにあるおよそ6 万8000 の村のうち、60%に当たる4 万225 村をカバーし、全土を15 に区割りした広域ゾーンにくまなく支店を配置し、業務を展開している注6 ) 。以上から、グラミン銀行の貧困層向け住宅ローン(グラミン銀行からの借り入れ時点で、土地所有が0.5 エーカー未満、あるいは1.0 エーカーの土地に相当する額以上の資産を持たない貧困世帯が貸し付けの対象)は、全国の農村部に広く普及し、政府の住宅政策を補完してきたことは明らかである。
 次に、調査時点のグラミン銀行住宅ローン規定を見てみたい。借り手に関する主な規定は、以下のとおりである注7 ) 。@住宅ローンの融資限度額は3 万タカであるが、地域により上限額は異なる、A利率は年8%で、毎週分割して払い、返済期間は最長10 年である、B融資対象者は、グラミン銀行の一般ローン(1 年払い)を毎週滞りなく2 件以上完済した実績を持つ者、C融資対象者は、本人名義の宅地を所有している者である、D担保は必要ないが、返済に関する責任は借り手同士の連帯責任となっている。借り手の連帯責任は、借り手5 人から成るグループ(5 人グループ)を基本として、最大8 グループまで統合された40 人規模の「センター」と呼ばれるグループにより担保される。
 ここで、宅地所有権と返済が滞った場合について、筆者の聞き取りに基づき補足したい注8 ) 。バングラデシュでは、家屋の所有権はその家が建つ宅地の所有者に属しており、通常、家屋だけの登記はない。そのため、住宅の所有権を得るためには宅地を所有する必要がある。グラミン銀行はこの制度にのっとり、本人名義の宅地を所有している借り手に住宅ローンを提供している。女性の申請者のほとんどが、夫から委譲された宅地を所有している者であった。住宅ローンを申請する際には、申請書と土地所有を証明する土地登記事務所発行の本人名義の権利書をグラミン銀行に提出しなければならない。ただし、住宅ローンの返済が完了するまでは、土地家屋の譲渡・転売は認められていない。返済に関しては、センター全体の責任とされているため、住宅ローンの借り手はセンター集会の場において慎重に選択されており、2000 年末現在の返済率は99%と、債務不履行に陥るケースは極めて少ない。万一問題が発生した場合は、他の借り手が住宅を購入して債務を引き継ぐ、あるいは借り手の夫に債務を引き継いでもらうなど、あくまでも話し合いによる解決策を導き出し法的手段に訴えることはしない、という方針が採られている。


2.バングラデシュの女性の財産についての通念
 バングラデシュの女性は、ハナフィ・イスラム法(The Hanafi Muslim Laws )注9 ) により、妻、娘、母といった立場から、故人の財産を相続する権利を有する。夫を亡くした妻の場合、8 分の1 を相続し、残りを息子と娘が2 対1 の割合で相続する。夫婦に子どもがない場合は、妻は4 分の1 を相続し、残りは亡夫側の兄弟といった親類に配分される。息子を亡くした母親は、彼女の孫(息子の子ども)に財産分与を行うという条件で、6 分の1 を相続できる。両親が死亡し、自分の兄弟がいない娘の場合は、2 分の1 を相続し、残りは父方の兄弟あるいはその子どもが相続する(Mizan [1994 ] p..40 )。
 次に、女性はこのような相続する権利をどのように行使しているか、一般にいわれている現実を見てみたい。
 バングラデシュでは、女性が自らの財力で資産を形成することは容易ではない注10 ) 。そのため、相続は最も一般的かつ合法的な財産獲得の方法であり、先に示したように女性にもその権利は与えられている。しかし、女性は伝統的に財産の相続を放棄し、それを兄弟に委譲しているのが実情である。そして、そのような行為は立派で分別があると見なされている。さらに、相続放棄の要因として、パルダ(purdah :女性を外部の者から隔離し、家の囲いの中で生活することを女性に要求する社会的慣習)を挙げることができる。パルダにより、バングラデシュの女性は農地を耕作する、あるいは収穫物を売買するという行為は規制されている(Zaman [1996 ]p.8 )。たとえ相続したとしても、その管理は夫や息子に委ねられている(バングラデシュ女性・児童省[1998 ]p.27 ;Zaman [1996 ]p.53 )。このように旧来の伝統が引き継がれ、女性は依存する存在である、と一般的に理解されている。
 さて、女性の財産相続放棄を伝統的社会規範に縛られた行為と受け止める一方で、3 つの意味でポジティヴに受け止める理解の仕方もある。それはナイオル(Naior :既婚女性が毎年、ある特定の時期に夫を伴わず実家に帰省する習慣)が持つ機能から生じている。1 つ目は、ナイオルが家族間の資産交換として機能し、インフォーマルな形での投資となっている、との見方である。つまり、女性が実家に帰省すると、兄弟は相続放棄の見返りとして農作物を土産として提供するということから交換が成立している、と解釈されているのである(Mizan [1994 ]pp.40-41 )。2 つ目は、ナイオルによって女性が受ける兄弟からの庇護は、女性の婚家での立場を強める機能を併せ持っている、とする見方である(外川[1993 ]p.44 )。3 つ目は、ナイオルを条件とした相続放棄は、離婚や夫の死後、実家に戻る際、肩身の狭い思いをしなくて済むような配慮となっている、という考え方である(海外経済協力基金委託[1997 ]p.21 )。
 以上から、伝統的慣習に従った女性の相続放棄は一般的であり、また相続した場合でも実質的な管理権は家長となる異性に委任されているのが現状である。したがって、経済的および社会的状況から見て、女性が土地を所有することは極めて困難であることがうかがえる。


II 調査の目的と方法
 上述した内容を踏まえて、住宅ローンを利用して自己名義の住宅を所有するに至った女性と、住宅ローンを借りていない女性との比較を試み、分析した。貧困層の女性にとって、住むところを確保できるか否かは非常に大きな関心事である。
 質問紙を用いた聞き取りは主に、グラミン銀行の住宅ローンによって住宅を得た女性と住宅を所有していない女性との比較を、「自己所有の住宅は女性の生活に安定をもたらしている」という仮説の下に、特に女性の財産面からとらえる目的で行った。調査は2001 年11 月に行われた。調査地は、ガジプール県にあるグラミン銀行ドッキンカンウットラ支店とバションガジプール支店の活動内にある村である。調査村は首都ダッカから車で1 〜2時間の距離にあり、電気が通っている世帯もある。聞き取り方法は、グラミン銀行本店の行員を通訳として戸別訪問をした。訪問面接の対象は住宅を得た女性と住宅を持てない女性との現状認識の違いを明らかにするために、@グラミン銀行住宅ローンの借り手(以下、グループA )、Aグラミン銀行に加入しているが住宅ローンの非借り手注11 )(以下、グループB )、Bグラミン銀行に加入していない者(以下、グループC )、各30 名、合わせて90 名の女性である。なお、グループC については、グラミン銀行の借り手に、彼女たちと同程度かそれ以下に貧しい女性を紹介してもらった。身なりや雰囲気、世帯主の職業などから、グラミン銀行の借り手以上の生活水準にある人は混ざっていないと判断した。


III 調査結果と分析
1.グループA の住宅に関する現状
 表−1 にて、調査対象者の社会的・経済的属性を、表−2 にて、グループA の住宅に関する現状をまとめた。まず、宅地については全員が委譲されており、実父からが1 名、夫からが29 名である(表−2 )。宅地を譲り受ける際、問題は発生していなかった。それは、グループA の夫が住宅資金の融資を希望しても一般の金融機関が要件とする十分な担保を持たず、また融資の対象となるような職業にも就いていない(表−1 )ことから、住環境を改善し、社会的なステイタスを向上させるためには、宅地を妻に委譲してでもグラミン銀行から融資を受ける以外に選択肢がなかったためである。バングラデシュでは、トタン屋根の家は金持ちと同意義であり、人々は、いつかはトタン屋根の家を持ちたいと熱望している(長田[1989 ]p.143 )。グループA の夫はその熱い思いを実現するために、妻に宅地を委譲したと考えられる。グループA には宅地を委譲された後、離婚した者4 名と寡婦2 名が含まれている(表−1 )。彼女たちは家から追い出されず、そこにとどまり生活していた。このことが可能だったのは、本人名義の住宅(宅地を含む)を所有していた点にある。したがって、離婚した夫はすでに所有権を妻に委譲していたため権利の主張ができず、家から出て行った。なお、女性が名義貸しに利用されローン完済後に所有権が夫に戻る場合が懸念されるため、所有権者を確認したところ、全員が住宅は自分名義であると答えた。

   表−1、表−2:略(ら・まんちゃん)

 次に、建築に要した額を見てみよう(表−2 )。借入額は、ドッキンカンウットラ支店とバションガジプール支店の限度額である2 万5000 タカが19名(63.3%)と最多であり、平均すると2 万1800 タカである。自己資金は、平均2 万3600 タカである。これらを合わせた建築総費用は、平均4 万5500 タカとなり、自己資金比率は52%である。なお、自己資金が借入額と同額かそれ以上の者は70%に上る。
 さらに、返済は個別の返済計画に従い、一般ローンと合わせて毎週分割して返済する方法が採られている。返済額は、週200 タカを超えない範囲と定められている。返済の原資については、夫がいないあるいは夫が無職である借り手の場合は、雑貨店経営、牛・鶏の飼育、裁縫など1 人で複数の経済活動を行い(表−1 )、そこから得た収入を返済に充てていた。夫がいる借り手の場合、自分で返済金を用意できないときは夫の収入に頼ることが多い。夫の職業は商店経営(高床式のバラックのような店舗での商いも含む)が最も多く(42%)、次に店員、行商、農業などである(表−1 )。また、住宅ローンで建てた家、またはその部屋を貸して家賃収入を得ている借り手が6 名(20%)おり、それを返済に充てていた。家賃収入は、月450タカが1 名、月500 タカが1 名、月600 タカが3 名、月800 タカが1 名であった。借り手がこうした収入を得ているという事実は、先行研究では触れられていないことである。
 ところで、住宅所有後の夫の態度や心境に、次のような変化が見られた。それは、@ローン返済金の一部を工面してくれるようになった(12 名:50%)、Aローンの重要性に気づいた(8 名:33%)、Bローンで建てた家からの家賃収入に満足している(2 名:8%)、C大きな家に満足している(2 名:8%)である。


2.住宅を自己所有する意味
 グループA に対し、本人名義の住宅を所有した利点を尋ねた。その結果をまとめたものが表−3である。この中から、貧困層の女性特有の利点を抽出すると、@財産を所有できた(77%)、A安全な場所を確保できた(30%)、B社会的地位を得た(30%)、C老後の住み家を確保できた(7%)などが挙げられる。また、グループA の中でただ1 人ではあるが、離婚した娘に対し、安心できる一時的避難場所として部屋を提供していた。グループAには、離婚した娘を抱えている世帯はこの1 例だけであるため、例外的か一般的かを明確にすることはできない。しかし、所有の住宅がこのように使われているケースは、本調査で新たに明らかにされたことである。
 グループB とグループC に対しては、女性が本人名義の住宅を所有する意味を尋ねた。グループA と同様に抽出すると、表−4 に示されるように、グループB は、@安全な場所の確保(67%)、A老後の住み家の確保(30%)、B社会的地位を得られること(27%)、C財産確保(23%)を挙げている。これらは、グループA が挙げた利点とポイント差はあるものの同じ内容である。このことから、女性が住宅を自己所有することに対するとらえ方の差異は、グループA とグループB では小さいと指摘できる。グループC は、@安全な場所の確保(43%)、A財産確保(13%)、B老後の住み家の確保(7%)を挙げている。しかし、グループC の半数は、「自分の家に住めること」と、問いに問いをもって答えている。このことから、グループC には、女性が本人名義の住宅を所有するという具体的な感覚はあまりないと指摘できる。したがって、グループC にとって自己所有の住宅というものは、グループB より現実味を帯びていないといえる。

表−3 グループA :本人名義の住宅を所有した利点:略(ら・まんちゃん)
表−4 グループB とグループC :女性が本人名義の住宅を所有する意味:略(ら・まんちゃん)

 以上から、貧困層の女性が住宅を自己所有する意味として、少なくとも3 点が指摘される。それは、@財産確保、A追い出されることのない安全な場所の確保、B老後の住み家の確保である。
 ところで、グループB とグループC は住宅ローンの借り手となっていない。そこで、その理由を見てみたい。グループB については、@グラミン銀行に加入しているが一般ローンを2 件以上完済した実績がないため資格がない、A宅地を所有していない、B夫が宅地委譲に同意しない、C住宅ローン返済の目途が立たない、D夫名義ではあるが満足できる住宅にすでに住んでいる、が挙げられる。この中でBの理由については、夫婦間の信頼関係の崩壊が危惧されるため、あるいはローン利用の利点をしのぐほど、夫の自己所有に対する執着心が強いためと考えられる。Cについては、部屋を貸すことで返済額を賄うことができるため、住宅を自己所有できる可能性は高いといえる。グループC については、グラミン銀行に加入していないため資格がない。しかし、グループB の90%、グループC の83%は住宅ローンの融資を希望していた。



3.住宅の満足度
 まず、住宅の整備状況については、グループBは本人名義の住宅に住んでいる者はなく、夫名義の住宅が27 名(90%)、借家・間借りが3 名(10%)である。夫名義の住宅のうち、屋根の葺き替えなど毎年補修している者が19 名(70%)、1 、2 年ごとに補修している者が7 名(26%)、6 カ月ごとが1 名である。グループC も本人名義の住宅に住んでいる者はなく、借家が20 名(67%)、夫名義の住宅が8 名(27%)、小屋のような家が2 名である。夫名義の住宅の補修状況は、毎年行っている者が5 名(63%)、2 年ごとが1 名、6 カ月ごとが1 名、3 カ月ごとが1 名である。なお、グループB の離婚者1 名とグループC の離婚者3 名、およびグループC の寡婦1 名は借家住まいであり、グループC の寡婦2 名は小屋のような家で暮らしていた。一方、グループA の住宅は、さまざまな災害にもほとんど修理を必要としていなかった。したがって、修理回数が多いグループB とグループC の住宅は、グループA よりも状態が悪いことがわかる。
 そこで、住宅に関する満足度を表−5 で見ると、グループA は全員が、自己所有の丈夫な住宅に満足している。グループB の満足度はグループA より低く、グループC はグループB よりさらに低い。グループC には全く満足していない者が60%以上いる。グループB とグループC の不満の理由は、グループB の場合は、家が狭いこと、ほぼ毎年修理を要することであり、グループC の場合は、借家住まい(間借りが多い)で家賃が家計を圧迫しているためである。調査地の家賃相場は、月450タカから600 タカであり、それが夫の収入に占める割合は60%に上る場合もあった。
 以上、「III 調査結果と分析」から明らかにされた主なことは、以下のとおりである。@グラミン銀行の住宅ローンを借り入れた女性は、住宅を建築するために、宅地委譲という形で男性(主に夫)からの協力を得ている、A住宅ローンの仕組みは宅地・住宅の所有者として女性を保護している、B住宅そのものが女性の大きな財産となっている、C女性にとって住宅は、老後の住み家となり得る永続的な居場所となっている、D貸家・貸間というビジネスが経済的な安定に寄与している。これらのことから、住宅ローンは、女性の生活に法的・経済的・社会的な安定をもたらしているといえる。

表−5 住宅の満足度:略(ら・まんちゃん)

おわりに

 これまで、グラミン銀行の住宅ローンのシステムがバングラデシュの貧困層の女性たちに与える影響、特に経済面における影響に焦点を絞って見てきたが、実際には女性たちの認識の向上、子どもの教育に対する考え方の変化、女性間のネットワークの広がりなど、より広範な社会的意義をもたらしていることも、調査を進める中で感じられた。
 経済面にとどまらぬ社会的変化をとらえるため、多角的なアプローチから、調査・研究・検証を行う必要がある。これが今後の課題である。

注 釈
1)本稿でいう貧困層とは,グラミン銀行のローン融資対象者となる0.5 エーカー未満の土地所有世帯(実質的土地なし層)を指す.こうした世帯は,1995/96 のデータによると,バングラデシュ全世帯の55%を占めている.農村部における1 世帯1 カ月当たりの平均所得は3658タカであるが,「実質的土地なし層」の1 世帯1 カ月当たり平均所得は,全くの土地なし世帯では2325 タカ,0.01 〜0.04 エーカー所有の世帯では2055 タカ,0.05 〜0 .49 エーカー所有の世帯では2793 タカである(Bangladesh Bureau of Statistics [1998 ] p..38 ).

2)たとえば、女性は簡単に離婚を言い渡される,あるいは夫から暴力を振るわれる,といった被害に遭っている.『人間開発報告書2000 (人権と人間開発)』(国連開発計画[2000 ]p.47 )によると,バングラデシュの女性の半数は,親密なパートナーから身体的暴力を受けた体験を持っていることがわかる.貧困層の女性の場合は,この割合よりもさらに多いと推測される.

3)トッド・ヘレンは,グラミン銀行の借り手を1 年間参与観察し,未亡人が家庭内でどのように扱われているか,具体的な報告を行っている(Todd [1996 ]pp.81-84 ).

4)政府はこの政策の中で,公的機関による住宅政策金融事業は国民の需要をほとんど満たしていないことを認めている.こうした現状を補完するものとして,近年,グラミン銀行による住宅資金の供給が開始された,とグラミン銀行の住宅ローンに触れている(海外経済協力基金委託[1997 ]p.5 ).

5)2000 年度のローン件数のうち,加工,製造,農業,畜産など主として家屋内で行われる経済活動は74.8%を占めている(Grameen Bank [2001 ]p.24 ).

6)支店総数は1160 に及び,その95%を占める1096 支店において住宅ロ―ンの取り扱い業務を行っている.広域ゾーンのうち,住宅ローンの件数が最も多いのはダッカ・ゾーンで,借り手の45.6%を占めている.逆に最も少ないのは,1998 年にコミラ・ゾーンから分離し,新たに設置されたノアカリ・ゾーンで,借り手の6.3%が融資を受けている.このように地域により住宅ローンの普及に差はあるが,平均すると借り手の4 人に1 人が,住宅ローンで建築した家に住んでいる.GrameenBank [2001 ]を参照.

7)調査時点における住宅ローン規定は,1998 年7 月26 日に通達された回状に基づく(グラミン銀行[1998 ]pp.1-3 ).

8)補足は,2001 年11 月20 日,グラミン銀行本店での筆者の聞き取りに基づいている.

9)ハナフィ・イスラム法とは,バングラデシュにおける財産の相続に関して,イスラム法に基づいて規定された法律である(Mizan [1994 ]p.40 )

10)通常,有給の仕事に従事し,資産,特に土地の購入資金を貯蓄できる女性は少ない.しかし,中には女性自身が資金を蓄え,ベナミ(benamee )(口約束だけの簡単な取引で土地を購入する方法で,全額支払いが済んだ時点で土地の所有が可能となるシステム)を通して土地を購入する場合がある.またベナミには,偽名で作成されてはいるが,法律上の書類として通っているものも含まれているが,いずれにしても,その女性が所有権者であると確認できる合法的な書類は存在せず,実際に,その女性の所有にならずに支払い済みの資金を失う場合もある(Mizan [1994 ]pp.39-40 ).

11)グラミン銀行は住宅ローンの他に,一般ローン,季節ローンなどを提供している.
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グラミン銀行

HotWired Japan Altbiz よりの転載

http://hotwired.goo.ne.jp/altbiz/yamagata/010227/textonly.html

Altbiz
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山形浩生の『ケイザイ2.0』

第21回 マイクロファイナンスと、高利貸しのポジティブな役割
――バングラデシュのグラミン銀行の場合


 最近、かの悪名高い2chにスレをいくつか立てていただいていて、罵倒されたりヨイショされたりしてそこそこ楽しいのだけれど、その中でふとこないだバングラデシュで話をききにいったマイクロファイナンスの話をしたら、おもしろがってる人も多少はいたようだ。ふーん、思ったほど知られていないんだな。

 というわけで今回は、そのバングラデシュのグラミン銀行をはじめとするマイクロファイナンスの話だ。ただの紹介だから、知ってる人には目新しい情報はないので読まずにいてくれてまったくかまわない。

 マイクロファイナンス。これはいま、世界の貧乏人対策の希望の星の一つだ。世界中がこの方式に注目しているし、またかなりの成功例もいっぱいあって、やりかた次第ではかなり有効そうだということで、いろんなところで導入されようとしている。何をするかというと、要は貧乏人にお金を貸してあげようということだ。ふつうの銀行では規模が小さすぎるし担保も何もない貧乏人なんかにお金は貸してくれない。それを貸そう、というもの。そうすることで、元手がないから商売を広げられない、商売を広げられないから元手がいつまでもできない、という悪循環に陥っている貧乏な人たちが、自力でそこから脱出できるようにしてやろう、という仕組みだ。

 これをいちばん最初にやったのは、バングラデシュの経済学の先生だったムハンマド・ユヌスという人だ。この人は数年前に来日したし、自伝は邦訳もあるし、おもしろいから読んでみるといいよ(『ムハマド・ユヌス自伝 貧困なき世界をめざす銀行家』 http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/?aid=&bibid=01587446&volno=0000)。この人は、バングラから海外に留学して経済学の先生になって帰ってきたんだけれど、経済学の講義をしているすぐ外の通りでは、飢えたホームレスたちが乞食をしていて、そのギャップにすごく心を痛めていた。自分の習ってきた経済学なんて、何の役にもたたない机上の空論じゃないか。

 そういう人たちと話をするうちに、かれは貧乏な人たちが、商売の元手がないから貧乏から抜け出せないんだということを知るようになる。商売用の自転車を買いたいけれどお金がない、という男。家具つくりをしているけれど、その道具を買うのに高利貸しで借金をしたので、その返済で手元に利益がぜんぜん残らない、という女性。そういう人たちに、ユヌス教授は、ポケットマネーからほんの2000円とか3000円とかを貸してあげた。すると、みんなそれでちゃんと商売道具を買って、商売をして収入をあげて、きっちり耳をそろえてお金を返してくれた。 

 金融の常識からすると、これは驚異的なことだ。貧乏人は、なんせ貧乏だから、担保になるものなんか持っていない。すると、お金を貸しても商売に失敗したらとりっぱぐれる。さらに、貧乏人は何も持っていないから、お金をきちんと返そうという意志が低いんじゃないか、というのがふつうの銀行の発想だ。どうせ失うものがないんなら、その貧乏人たちは借りた金をぱーっと使ってしまって、あとで「無い袖はふれねーよ」と開き直る可能性だってある。いや、その危険はきわめて高い、というのがふつうの金貸しの常識だ。さらに、そもそも貧乏人が貧乏なのは、才覚がなくてお金もうけもできないか、返すお金に手をつけないくらいの自制心すらないからじゃないか、という(暗黙の)考え方がある。

 ところがいまのユヌスの体験というのは、この常識にことごとく反している。かれらは返す意志はあった。ちゃんとそれを使って商売をするだけの才覚があり、返すべきお金をちゃんと返すだけの自制心も道徳心もあったわけ。

 そこでユヌス教授は、これをもっと大規模にやろうと思いつく。まず数人をまとめて自分が保証人になり、銀行から融資を受けさせるようにした。そしてそれがうまくいったので、かれは自分で銀行をつくる。土地を持たない、特に女性を中心とした貧乏人専門にお金を貸してあげる銀行。それが開発援助の世界では知らぬもののない、グラミン銀行だ。


●グラミン銀行だって慈善でやってるわけじゃない
 さて、マイクロファイナンスというと、必ずこのユヌスの話が出てきて、ほらごらん、貧乏人こそは正直で、お金をきちんと返すのです、従来の銀行や経済学の、ハイリスクハイリターン(というのは、リスクの高い投資や融資は、高い見返り、つまりは金利をとらなきゃやってられないよ)という常識がいかにまちがっているかがよくわかりますね、なんて言う人がいる。そして貧乏人に積極的にお金を貸すなんてすばらしい博愛精神、なんてことを言う人もたまにいる。

 でもこの話をきいて感動している多くの人が誤解していることがある。それは、別にグラミン銀行だって慈善でやってるわけじゃない、ということだ。いやいや、かれらだって基本は営利企業。しかも、かなり儲かっている営利企業だ。バングラデシュに行って、グラミン銀行を訪れてみると、そこは巨大なグラミンビルだ。立派だよ。中でつとめている人は、ぼくなんかよりずっといいラップトップをつかってやがる。生意気な。

 そして、お金を借りている貧乏な人たちは、別にだまっててもホイホイとお金を返してくれているわけじゃない。また、グラミン銀行も、そんなに甘いところじゃない。かれらはかれらなりに、ちゃんとお金が戻ってくるような手だてを講じている。

 それは相互監視システムだ。

 いまのグラミン銀行は、一人で「金貸して」と言ってもお金を貸してくれない。必ず五人組みたいなグループを組織させる。そいつらにそれぞれ一定額の預金をさせることもある。そして、その5人の中のたとえば2人とかにまずお金を貸して、でも返済はその5人の連帯責任。返済は、毎週取り立て人がやってきて、その5人を集めて連帯で返済させるのだ。借りてる人が返せないと、残りの人たちが血相変えて、おまえの努力が足りない、商売をああやってみろ、こうやれ、と相互に指導をしあったり、営業をだれかが引き受けたりとやって、とにかくそいつが返せるようにもっていく。さもないと最終的には自分たちがツケを払わされる。

 確かにこのシステムはすごい。バングラデシュでは一般の銀行の融資の数割がこげついて不良債権化していると言われるけれど、グラミン銀行の利用者は、期日通りの返済が九割を超えている。でも、それは貧乏人が正直だから、かどうかはよくわからないし、グラミンもそんなのをあてにはしていない。

 これが成立するのは、グラミンがさっきも言ったように、もっぱら農村部の女性をねらっているからだ。コミュニティがあるため、相互監視がよく効く。さらに、家庭があるので女性は逃げられない。だから村八分にならないためには必死で働くしかない。それと、みんなのローンみたいな消費用の融資じゃなくて、商売用の融資が基本だからこうなります。でも、人によってはとてもきつい立場に追い込まれることはある。これまでは借金取りにいじめられたら、みんなが同情してくれただろうけれど、こんどはそのみんなが借金取りになってるんだから。「グラミンなんか使わない、あんなところで借りたらおしまいだ」というような声も一部にはあるそうだ。

 そしてユヌスの自伝にも書いてあるけれど、グラミンは無理矢理お金を貸す。さっき、女性をねらって融資する、と書いた。バングラデシュの多くの女性は、女はお金なんかさわらないものだと思っている。それを、グラミン銀行はまずオルグ部隊を送り込んで、お金を借りるとどんなにいいことがあるか、というのをことば巧みに説いてまわる。そして半信半疑の女性たちを集めて、とにかく貸してしまう。確かに、これは賢い。お金になじみのない女性は、お金の使い手を知らないし、どこで使うかも限られている。なまじお金を持ったことがあって、カラオケ行こうとか、遊びにいこうとか、そういう誘惑を知ってる男よりも散財リスクは少ない。でも、これをいいことと思うか、悪いことと思うかは人によって意見がわかれるだろう。結果としてみんな返せているんだから、そこにはポテンシャルはあったんだろう。でも、そうやって無理に貸すのはいいのかな。これで失敗していたら、たぶんめちゃくちゃ言われただろう。そこらへん、どう判断しようか。


●金利は、日本のサラ金より高い、が・・
 さらに、ときどき貧乏人相手の融資だから金利なんてほとんどゼロだろう、と思っている人もいる。そんなことないのだ。年率名目金利で20-25%くらいかな。日本のサラ金より高いよ。

 ただ、この年率25%の金利、という数字だけを見て、ああこいつらは高利貸しだ、サラ金だ、という印象を持つのはまちがっている。高い低いはすべて相対的なものだ。この25%のローンがなければ、この人たちがお金を借りる相手は、本当にすさまじい高利貸ししかいない。そこでの高利というのは、年率100%、200%の世界。これに比べれば、グラミン銀行の25%というのはもう神様みたいな低利だ。

 さらに、いまの説明を読んでわかると思うけれど、このマイクロファイナンスは銀行側としてはえらく手間がかかる。毎週、人を集めてとりたてをやるんだよ。さらに一応商売だから、はした金を貸すんだって、ちゃんと書類つくって審査して、という手間はいる。10万円の融資一口やるのも、1000円の融資を百口やるのも、融資額は同じ10万円だけれど、手間は1000円を百口やるほうが圧倒的にいっぱいかかる。どうしてもそれだけのコストはかかるし、それが高い金利に反映される。これはまあ仕方ないことだろう。

 でも金利200%より25%がいいなら、そしてそれできちんと返済されるんなら、そういうところにこそ海外援助をつっこもうじゃないか、という人は当然いる。金利だってもっと下げてやって、0%にしてあげたらいいじゃないか、そうやって有効に使われるなら、無償であげたっていい、というのは、当然だれでも真っ先に思いつくことだ。

 ところがグラミン銀行の連中は、それはよろしくない、と言う。特にあげるのは最悪だ、という。人がいっしょうけんめい工夫をして働くのは、まさにこの高い金利を払ってお金を返さなきゃいけないというプレッシャーがあるからなんだ、というのがかれらの説だ。返さなくてよくなると、みんな怠ける。25%の金利だと、しゃかりきに働いて、結果的に50%くらいもうけを出すことだってあるだろうけれど、5%の金利なら、みんなあんまりがんばらずに、元金割れするような返済しかできないだろう、というんだ。これはとってもおもしろいポイントだ。

 実は、このグラミンの成功を見て、慈善団体的なマイクロファイナンス組織というのもボチボチあるのね。でも、派手に失敗しているところがかなりあるそうだ。慈善じゃだめだ、きちんと商売でやらないといけませんね、というのもグラミンの連中のよく言うこと。


●借金とその取り立ては、かなりポジティブな役目だって果たせる
 というわけで、これが代表的なマイクロファイナンスの仕組みだ。もちろん、五人組をつくる以外のやりかたもある。でもまず、貧乏人にとってだいじな規範をうまく活用して、逃げられないところへ貸しこんで、ものすごく厳しくとりたてて必死で働かせる、という仕組み。これはこういうマイクロファイナンスのキモだ。この逃げられない仕組みやとりたての仕組みをどう作るか? これがだいじだ。

 二ばんめに、これが事業用の融資だということ。いまの収入から返済するんじゃダメだ。融資によって収入を増やさなきゃいけない。ただしその時、貧乏人たち自身が、どうお金を使うか決められる。多くの貧乏人援助だと、お金の使い道は決められているし、貧乏人にお金を渡したらどうなるかわからん、ということで、こっちでモノを買ってあげたがることが多い。でもグラミン方式では、五人組さえオッケーといえば、ウシを買いますといってお金を借りても、あとから「やっぱ自転車にします」というのは、ありだ。よく言えば柔軟、悪く言えばいい加減。

 その職業指導までグラミンはやる。いま、グラミングループができている。グラミン・シャクティは、太陽光発電を提供する。これもちゃんとお金もうけにつながる。どうやって? たとえば、蛍光灯が3つ使える太陽電池システムだと、隣の家に1つ賃貸する。それでお金が儲かる。あるいは夜なべ仕事をする。セコイ話だ。でも、貧乏人だから、そういうセコイ話だってかなり効いてくる。グラミンフォーンは、携帯電話会社。これも携帯電話を使った収入増だ。そしてこれにより、太陽電池を買った人は携帯電話充電サービス、なんてのができる。さらにインターネットプロバイダまでグラミンははじめようとしている。ネットをお金もうけにつなげる。先進国であれだけドットコムがこけているところで、バングラなんかで商売できるのかな? これは見物だ。

 そして何より金利をとって厳しく取り立てるからこそ、みんな働いて生活水準があがるんだ、という明快な考え方。貧乏な国の借金を棒引きしてあげようという運動が去年あったけれど、借金とその取り立ては、かなりポジティブな役目だって果たせるんだというのは、一部の人には常識だけれど、かなりの人にはオドロキのようだ。不景気で貧乏だから補助金を、不景気で貧乏だから低利融資を、不景気で貧乏だから借金棒引きを、という日本の「常識」に比べて、このマイクロファイナンスの教訓というのは、(もちろんいっしょにできない部分は多いながら)ある意味で示唆的ではないかな。

 それと、最後に一つだけケチをつけておこう。グラミンが成功して、貧乏人に金を 貸すと儲かるという認識ができてくると、当然ながらそれをまねする連中が出てく る。一部の地域ではこのために、マイクロファイナンスが乱立していて、貸し付け合 戦が起きている。すると当然、やばい人にも甘い条件で貸すようになって、すると本 当に返せない人が増えて、取り立てが熾烈をきわめ……という事態もちらほら出てき ているらしい。結局マイクロファイナンスだからいいとか悪いとかじゃなくて、やっ ぱりふつうの金融機関と同じような問題も課題もあるんだな、というのが(あたりま えだけれど)見えてきている。希望はある。でも万能じゃない。そこらへんは注意し てみてやらないといけない。そんなところだ。
posted by ら・まんた at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする